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栗原邸 [日記]

5月の末のことになりますが、京都・山科の栗原邸の一般公開を見に行ってきました。

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京都市山科区の北西部、すぐ北に琵琶湖疎水が流れるあたりに栗原邸はあります。

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疏水のトンネル洞門の中でも、凝った意匠と言われる第二トンネル入り口。トンネル上部には井上馨の「仁以山悦智為水歓」(仁者は動かない山によろこび、智者は流れゆく水によろこぶ)の扁額があります。琵琶湖疎水の洞門や扁額を見て歩くのも楽しいのですが、今日は栗原邸。

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以前は門から建物が見えていたのですが、この日は緑に隠れてしまっていました。


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2014年には国の登録有形文化財に指定されています。


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中に入っていくと、この建物の一番の特徴である玄関があります。玄関の中に見学会の受付がありました。
この玄関の上は張り出しサンルームになっています。


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建物の壁はコンクリートブロック剝き出し、中村鎮式コンクリートブロックを使っているそうで、現在の一般的なコンクリートブロックではなく、L字型を組み合わせることによって空間を作り、その空間に鉄筋を入れてコンクリートを流し込む方式で、耐震強度がとても強いということです。


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この建物は、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)校長を務めた染色家の鶴巻鶴一の邸宅として1929年(昭和4年)に建設されたそうです。


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戦前のうちにこの邸宅は鶴巻氏から栗原伸という人に譲渡されました。ご存じの方も多いと思いますが、日本最古の広告代理店ともいわれる「萬年社」の社長さんだった方です。今もその息子さん?が所有されているようで、栗原邸(旧鶴巻邸)と呼ばれることが多いようです。


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玄関ポーチの上のサンルーム。家具類や灯具も建築時のものが多く、モダンという言葉しか出てこないくらい、素敵な空間になっています。


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コンクリートブロック剝き出しのモダニズム的な外観の一方で、装飾的なデザインも見られることから、モダニズムへの移行期に生み出された独自の建物とされ、2007年に近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織DOCOMOMO JAPANより、優れた日本のモダニズム建築の1つとして選定。その後の登録有形文化財登録など、どんどんこの建物の評価は高まっているそうです。


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屋上からは山科の街が見えます。このあたりは昔は別荘地だったと聞きます。今も大きな家が多く、この栗原邸も終戦後は進駐軍によって10年間接収されていたそうですが、このあたりはそうした住宅が多かったと聞いたことがあります。栗原邸のキッチンも進駐軍によって白いペンキが前面に塗られていました。


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そんなこの旧鶴巻邸の設計者は京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)教授であった建築家・本野精吾氏(1882-1944)。本野精吾は残した建造物の数も少ないからか、武田五一や辰野金吾、ヴォーリスなどの戦前の建築家ように有名ではありませんでした。


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20世紀の終盤に、著名な建築家である藤森照信・東大教授が彼を再評価し始め、近年になって注目を集めている建築家ということです。本野精吾氏の建築作品には「西陣織物館」(現京都市考古資料館)や「京都工芸繊維大学本館」などがあります。


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各部屋の灯具は多様です。これらも本野清吾によるもの。彼は図案科教授として、インテリア、家具、舞台デザイン、グラフィックデザイン、服飾デザインなどデザイン全般のさまざまな教育や活動にかかわって実績を残した多彩な人物だったようです。


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本野精吾の父盛亨は鍋島藩出身で大蔵省に勤務し、後に読売新聞社の創業者となった本野盛亨。精吾の兄も外務大臣となる本野一郎、4代目読売新聞社社長となる本野英吉郎、二代目読売新聞社社長、京都帝国大学教授の本野亨など、才能あふれる家系だったようです。
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本野精吾は明治15年(1882年)東京生まれ。東京帝国大学建築科から卒業後は三菱合資会社地所部(現・三菱地所)に勤務し、「丸の内第12号館」などを担当したそうです。


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明治41年(1908年)、恩師から京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)の教授職に招聘されました。翌年からは約2年間、“図案学研究”のためベルリンに留学し、そこでモダニズム、工業化を前提としたデザイン革新活動に強い影響を受けたようです。 


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この建物は老朽化により傷んでいたのですが、2011年度より京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムにより、学生とともに修復作業が続けられています。


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この建物は、現在購入者を探しているしょうです。歴史的・文化的価値を継承し、長く居住もしくは活用してくれる人を探しているそうで、この見学会もその一環で開催されたものです。


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価格は2億円だそうです。どなたかいらっしゃいませんか?



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コメント 7

green_blue_sky

宝くじが当たりましたら考えます(^▽^;)
by green_blue_sky (2017-07-29 11:54) 

Take-Zee

こんばんは!
貧乏人の私・・
こんなお屋敷に入ったら邸内迷子に
なってしまいます。

by Take-Zee (2017-07-29 18:48) 

路渡カッパ

いろんな意味でも魅力的な建物ですね。本野精吾氏の足跡も辿ってみたくなります。
実は私の高校の通学路にあったもので、当時から興味を持っていたのですが、去年初めて念願かなって入ることができました。このプロジェクトに感謝です♪
購入者募集、去年もそれらしき方が見に来られてましたが、売れなかったんだ。
売れたらもう見られなくなるかもって、心配してたのですが。(^_^ゞ
by 路渡カッパ (2017-07-29 23:38) 

旅爺さん

京都には神社仏閣の他にも見られるものが沢山有って楽しめますね。
2億円で買って3億円で売ろうかな~!”(*^_^*)
by 旅爺さん (2017-07-30 10:09) 

hatumi30331

趣のあるお屋敷。
どんな人が買うのかな?^^
by hatumi30331 (2017-07-30 12:24) 

JUNKO

こういう建物は長く保存してほしいです。モダンな建築、当時も話題になったことでしょうね。
by JUNKO (2017-07-30 17:30) 

タンタン

おはようございます。
こういう建物って価格も凄いですが、維持管理だけでも大変でしょう^^;
by タンタン (2017-07-31 06:37) 

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