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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション [日記]

2カ月ほど前の2月28日、国立新美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を見てきました。初めてみる作品ばかりで、とても見ごたえがありました。


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ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》1880年


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スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)は、生涯を通じ絵画収集に情熱を注いだ傑出したコレクターとして知られています。主に17世紀オランダ絵画から20世紀の近代絵画に至る作品、中でも印象派・ポスト印象派の作品は傑作中の傑作が揃い、そのコレクションの質の高さゆえ世界中の美術ファンから注目されています。 この度、ビュールレ・コレクションの全ての作品がチューリヒ美術館に移管されることになり、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として、日本での展覧会が実現することとなりました。』と公式サイトにありました。


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ビュールレの没後に遺族により設立された財団に移された多くのコレクションが、1960年に美術館として開放された邸宅の別棟で一般公開されていたのですが、2008年、セザンヌの「赤いチョッキの少年」をはじめとする4点が、武装した強盗団により盗まれ日本でも大きく報道されました。結果的に全ての作品は発見され強奪事件は解決したものの、その影響によりコレクションの公開は制限され、最終的にビュールレ・コレクションの全ての作品が2020年にチューリッヒ美術館へ移管されることになったそうです。


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エドガー・ドガ《ピアノの前のカミュ婦人》1869年


ただ、公式サイトでスイスの大実業家として紹介されているエミール・ビュールレの実業とは武器の売買。彼が集めた絵画には第2次世界大戦の影が絶えず付きまとうといいます。


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カミーユ・ピサロ《ルーヴシエンヌの雪道》1870年頃 (日本初公開)


ビュールレはドイツに生まれ、その後チューリヒに移住し、1937年にスイス国籍を取得したそうです。スイスは永世中立国ですが今も世界第15位の武器輸出国ですね…。


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エドゥアール・マネ《ベルヴュの庭の隅》1880年(日本初公開)


ビュールレは第2次世界大戦中に、ナチスと連合国の双方に武器を売りさばくスイスの機械会社「エリコン・ビュールレ」の社長に就任し膨大な財を成したそうです。


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クロード・モネ《ジヴェルニーのモネの庭》1895年


彼のコレクションには占領下のフランスのユダヤ人からナチスが略奪したものも含まれており、大戦後にスイスの裁判所から返却命令が出たり、さらにそれらを買い戻した作品などもふくまれているといいます。


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ポール・セザンヌ《庭師ヴァリエ(老庭師)》1904-06年(日本初公開)


検索してみると、いろいろと記事が出てきます。



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フィンセント・ファン・ゴッホ《日没を背に種まく人》1888年


法的な問題は専門家が解決すべきものだと思いますし、美術品そのものの価値は普遍的なものだと思うので、作品を心おきなく楽しめばよいのですが、どこかひっかかるものが残るのは仕方ないのでしょうね…。


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フィンセント・ファン・ゴッホ《アニエールのセーヌ川にかかる橋》1887年


本展では64点が展示され、その約半数は日本初公開とこのと。会場は全9章で構成されていました。


 第1章 肖像画
 第2章 ヨーロッパの都市
 第3章 19世紀のフランス絵画
 第4章 印象派の風景‐マネ、モネ、ピサロ、シスレー
 第5章 印象派の人物‐ドガとルノワール
 第6章 ポール・セザンヌ
 第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ
 第8章 20世紀初頭のフランス絵画
 第9章 モダン・アート

 特別出品 クロード・モネ《睡蓮の池、緑の反映》


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フィンセント・ファン・ゴッホ《二人の農夫》1887年


ちょうど京都国立近代美術館でのゴッホ展を見たすぐあとだったこともあって、第7章 のゴッホの作品が多かったのが印象的でした。


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フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲くマロニエの枝》1890年




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クロード・モネ《睡蓮の池、緑の反映》1920-26年 (日本初公開)


この「睡蓮の池、緑の反映」は撮影可。高さ2メートル、横幅4メートルの大作でしたが、ルノアール、ゴッホ、セザンヌらの作品を見てまわって疲れた後だったので、普通に見てしまいました。


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下のちらしのセザンヌの赤いチョッキの少年は、2008年の強奪事件のニュースで何度か見たから、初めて見た気がしなかったのかも…。


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ポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》1888-90年



東京展のあとは福岡へ行って、夏からは名古屋で開催されるようなので、改めて見に行きたいと考えているところです。


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JUNKO

次回上京は5月下旬なので、残念ながら見られません。
by JUNKO (2018-04-25 10:32) 

U3

ルノワールと言えば冒頭の少女(イレーヌというのですね)しか思い浮かばないくらい印象深い絵画です。
by U3 (2018-04-25 14:34) 

sig

武器で財を成した人によって世界の名画が温存されてきたことは、なんとも皮肉ですね。
by sig (2018-04-25 20:28) 

dezire

こんにちは、
私も至上の印象派展 「ビュールレ・コレクション」展を見ましたので、画像と詳しく丁寧なブログを読ませていただき、この美樹展を再体験させていただきました。セザンヌの晩年は、画家としての自信と自負にあふれたポーズで堂々と立つ自画像は始めて見ることができ、最晩年の明るいタッチの作品を見たことも含めて、嬉しい気持ちになりました。モネの『睡蓮の池、緑の反映』は、精神的安らぎを感ずる巨大な空間を肌で感じ、約1世紀後、抽象表現主義の絵画のような何時間もその空間に浸っていたいような精神的世界を体験できました。

私は、以前スイスのピュールレ美術館に行きたくさんの感動を体験しました。現地で見て、ルノアールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」の美しさと、セザンヌの最高傑作『赤いチョッキの少年』がなぜ美術史上に残る傑作なのかを詳しく検討して、これらの傑作の本質的魅力をレポートしてみました。 読んでいただいて今後のお役に立てて頂けると嬉しいです。ご感想・ご意見などありましたら、ブログにコメント頂けると感謝いたします。

by dezire (2018-05-02 14:43) 

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